●第9壊 ひらけゴマ 05年01月19日

 しばらく更新していなかった再生計画。一応作業は細々とやっていた。運転席側のルーフ補修を中心に、手が空いたらフェンダー等をチマチマ補修していく。パテてんこ盛りのルーフは助手席側先端から始まり、残すは運転席側先端と前面のみとなった。ここで巻きを入れて一気にルーフの補修を完了させたいところである。
 通常、ボディ形状をドア枚数で表現する事が多い。SJ20Fだと、幌はドアとせずにNOドア?SJ20Vだと3ドアか。しかし2005年明けて早々に私のSJ20Vは4ドアと化した。年があけると共にもう一枚のドアがパックリと口をあけたのだ・・・・。
 
 始まりはルーフ先端だった。パッと見、何ともない塗膜だったのだが、初心者マークを小さく刻んだスペシャルパテ探知機を貼り付けてみるとハラリと地面に落ちた。マグネットが反応しない、すなわちここはパテである。怪しいので剥がしにかかるが、相当厚い。気合の一撃と共にルーフ先端が捲れる・・・・と、天国へのドアが開いた(左画像)。ここまでで最大の穴が開通、更にパテを剥いでゆく。表面はラッカーパテ、その下には普通のポリパテ、更に下には柔軟性のあるフリートパテと思しき層が現れ、その下には何も無い。鉄板すら無い。
 これは間違いなくプロの仕事で、穴には一応ブリッジとして鉄板の切れ端が半自動溶接機で留めてあったが、無意味。穴にそのままパテ入れして埋めてしまったようだ。フリートパテの使用もうなずける。しかも表から見ると全く何も解らない程に補修されていて、ある意味感動を覚える。しかし、これに気付かなかったら・・・ちょっと怖い。案外、あなたの愛車もこんな「補修」がなされていたりして←(妬みにしか聞こえない)。
 穴の中は錆地獄。砂場の砂の如く錆が積層していて、地金は完全にスナック菓子以下のサクサクさである。見なかったことにしたいが、怪しいパテを掘り進める。へへっ!涙で何も見えないぜ・・・・・・(結果、右画像)

 ルーフ接合部の鋼板は完全に死滅している。腐食部分は後々ガンになるので潔く切り取る。するとこうなる。掃除機で内部の膨大な量の錆を吸い取るが、袋構造の内壁もサビッサビ。ここまでほとんど金をかけずに補修してきたが、そろそろ本格的に出費しなくてはならない。補修の方向性としては、強力防錆剤を届く範囲で内部に噴霧、もしくは塗布し、更にノックスドールなどの充填防錆剤で被覆してやり、大穴はガラスクロスに樹脂を積層して埋めるか、目の細かい金網を半田付けしてブリッジとし、パテ補修。火を入れずに補修してしまう。殆ど原型をとどめていないので整形に苦労しそうだ。POR-15等の材料を買いに行かなくてはならないのだが、生憎サイフが限りなくEMPTY。来月に持ち越しだ。妹は教習所へ通い始めている。我が家にもう一台クルマを置くスペースは・・・・・無い。

 ひとまずブルーシートで養生して雨をしのぐ。どこかで見た光景だ。2005年、今年は阪神大震災から10年。10年前の我が家の屋根もブルーシートで覆われていた。

今回の出費 薄付けパテ 680円 プライマー 1100円 計1780円
合計 77049円

●第10壊 接着剤補修 05年02月28日
 
 屋根の穴はさておき(オイ)少しでも完成に近付けるべく作業。E/Gルームを綺麗にしよう。Fの方は、純正グリーン→黒→白と塗り重ねており、E/Gルームが緑色だ。割とE/Gルームを見せる機会のあるエイトではこれはダサい。全塗装車でもトランクルームやE/Gルーム、室内が純正色のままということがあるが、これはちょっといただけない。E/Gを降ろしたついでに塗ってしまえばよいものだが、メンドクサイのでそのままにしていた。Vではこういう細かいところから仕上げておく事にした。
 このVはご丁寧に塗装時にE/Gルームからフレームまでテキトーに塗装してくれているので、垂れや簡単に剥離してしまう様な塗膜を除去し、腐食部分を補修して全体的に足つけしてからの塗装。ファイアーウォールとE/Gルームに使用したのはブラックのストーンペイントで、顔料の中に粒子を混ぜて同時に吹き付ける事により梨地で凸凹した塗膜を形成するもの。これなら外装がどんな色でも違和感が無い。これはShou Carで用いられる手法でもある。フレームの腐食部、ステアリングギアボックスなどはPOR-15、その他の部分はブラックで仕上げた。
 ついでに埃っぽいハーネスを清掃し、各コード色を判別できるようになってから綺麗に取り回し。これらの作業でE/Gルームは見違えるようになった。E/Gルームや細部の仕上げでクルマが引き締まるのでボディよりも重要かもしれない。このクルマ、メンバーとフェンダーの補修痕から察するに一度フロントを潰している。このボディはフロントをぶつけると破損する箇所が定番化しているのですぐ解る。そう、Fと同じように凹んだり凸になったりしているのだ。フロントパネルは交換されているが、錆が出ていたので一度ベアメタル状態にしてからサフを入れた。

 
 フェンダーもね、塗装を剥がせば錆パラダイス。特にボディとフェンダーの継ぎ目は雨水の通り道なので錆び易い。無心で作業。フェンダーの上に乗っているのは使い古しの電話帳である。何に使うかというと、パテこね板。一度使うごとにページをめくってゆけば、錆車20台分以上のパテこねを余裕でこなせる。市販のパテ板やダンボールを使用しているよりも経済的。めくると前のページにひっつくので10ページごとに千切って捨ててゆけば邪魔にならないしまとめて捨てられるので良い。
 
 気合で仕上げてようやく両フェンダーが終了。面が歪んでいるが、初めから波打ったボディなので修正を始めると終わらないので適当に面出しした。まぁ、生粋の貨物車だから良いでしょう(?)しかしながらどちらのホイールハウスにも大穴が・・・・・・・・・・・

 
 ボディサイドも塗装を剥がせばボロ錆。ここはパネルの継ぎ目なので錆易い。浮いてしまっている箇所の錆を除去し、PORで張り合わせてから穴埋め、整形。PORの接着力は尋常ではない。
   
 反対側もご覧の通り。徹底的に錆を除去して、パテ入れ。このボディの継ぎ目には参る。隙間からPORを流し込んではいるが、内部での錆の進行は止まらないだろう。ひとまず全ての継ぎ目はシーラーを入れて密封してしまおうと思う。ところで、錆とり戦士の間では評価の高いPOR15だが、こいつは取り扱いに注意が必要だ。手に着いたらとれないとか、保存が難しいとか・・・・それでも錆の上から塗布できるという塗膜の強靭さには変えられないのだが・・・・この塗料は下地処理が完璧であればあるほど、密着が悪くなる。ザクザクに錆びて荒れた場所には食いつくが、均された表面に塗布すると、ぺロリと剥がれてしまう。なので痘痕状で除去が難しい錆の部分のみに使用するようにしないと後々悲しい目にあう。

 こんな風に剥離してしまうのだ(爪で引っ掻いただけよ)。この上からパテを盛ろうが塗膜を重ねようが・・・無駄である。塗膜が硬くても、密着しなければ意味無いのだ。工具と同じで、場所に応じて適したものを選択しなくてはならない。安易にPOR、気をつけましょうね。簡単に剥離してしまうPORの塗膜は、落としましょう。

 で、屋根の大穴だが・・・このような大穴は鉄板や異種金属を貼り合わせることで補修するのが一般的だが、当然溶接により熱を加えるので自然に酸化鉄になってしまう。他の補修箇所がすべてボロボロになっているのはこのためである。加えてボディ鋼板のような薄板溶接には機材と技術が要求される。リベットで新規鋼板を留めるにしても、アルミリベット等では電食が発生するなど、完全にパテで密閉してしまう箇所には不適当といえる。そこで、接着剤によりこの大穴を埋めることにした。
 板金に接着剤という補修方法は溶接による腐食防止と設備、技術の簡略化から特に最近多く導入されている。そもそも、本来の板金手法である半田に代わって登場したボンド(パテ)は、その名の通り接着剤の一種といえるので目新しいものではないのだが、接着力の強いフリートパテの登場をはじめ最近の板金用接着剤は確実に進化している。しかしながらボディ補強、パネル移植補修(ボンディング)や新車組み立て時にも導入されている最新の接着剤は非常に高価で手が出ないし、手軽とはいえない。JBウエルドやPORパッチパテ等が代表的かつ手軽なのだが、これでもまだ高い。今回の補修は手軽かつ安くがモットーである。活躍するのはどこにでもあるホームセンターだ。
 使用する接着剤はコニシのクイックメンダー。どこのホームセンターでも買える2液混合のエポキシ接着剤で100g800円ほどである。硬化時間が早く、強度も最高である。用途欄にはしっかり金属、工具とあるのでボディ板金に使用しても問題ない。これで新規鋼板を貼り付ける。
 
 周囲をPORで防錆してからフランジングし、のりしろをつ作っておく。そこに貼り付けるのはアルミ板や鉄板ではなく金網である。当初はガラスクロスも考えたが、面積が広いので強度を考えるとよろしくない。鋼板は整形に時間がかかるし、曲面故に歪みも出やすいのでフレキシブルな金網とした。目の細かい物を選べば十分パテが乗る。穴埋めに1000円でお釣がくるのは素敵ではないか。

 パテ入れ、整形して完成。元通り・・・ということにしておいてください。

 
 このクルマは本当に穴だらけ。怪しい塗膜の下は必ずピンホールでプラネタリウム状態である。ここは窓枠左右で、この程度の小穴は周囲を凹ませたうえでPORでガラスクロスを張り込み、PORを含浸させて固めてしまう。右画像は穴が大きいので広範囲に貼り込んでいる。硬化後はサンディング出来るほど硬い。この塗膜の硬さがPORの売りのひとつ。
 
 無駄な部分をサンディングしてからパテ入れしてやればよい。PORは何回かに分けて塗布し、クロスの強度を上げておく。FRP補修より簡単かつ安い。モノコックじゃなくて本当に良かった・・・・・。
 
 パテ入れ後に整形。平面は楽でよい。


 ルーフ先端部も、例の如く錆だらけなのでパテを剥がして防錆し、再度整形しておく。ようやくルーフを一周し終えた。当初の予想に反して、補習箇所が膨大になってしまった(汗)

今回の出費 接着剤、塗料、ペーパー等 14919円
合計 91968円


●第11壊 錆取り剤RS−R 05年05月05日

 サボり気味な当コーナーですが、作業はゆっくりと進んでいます。ルーフの補修は、ほぼ完了していてステージを側面に移しているのだが、過去の板金痕の補修とボディ継ぎ目の補修に時間をとられてしまったのだ・・。
 
 上にも記述がありますが、左サイドもとりあえず錆を全て処理して整形、サフまで入れている。ボディ継ぎ目を再現していて時間が掛かったのだが、ハッキリ言って継ぎ目はガタガタ。元々、波うち気味のボディの面を出そうとした事自体が間違っていた(汗)。

 
 随分とクルマらしくなってきたのはボンネットが載ったから。このボンネットは同時に引き揚げてきたFのもの。わざわざ滋賀からハイロンサム氏に配達していただいた。ボンネット先端が錆だらけ。ここは定番箇所である。ザッとカップワイヤーブラシで研磨してもこの程度が限界。錆の「根」までは処理しきれないので、今までだとPOR−15を塗りたくるか錆変換剤で処理するかの二者択一であったが、今回はこれら「防錆剤」ではなく、純粋に「錆取り剤」でいきます。

 
 ご存知の通り、PORは水分置換型の嫌気性防錆剤。錆チェンジャーは黒錆変換剤。錆を密閉するか、別なものに変換するかの違いがあるのみで、錆の根絶というレストアの基本コンセプトからすると少しズレている。底に登場したのがRS−R1000という「錆取り剤」である。水溶性植物系酸という酸で処理するタイプで、その威力は強烈なものである。初期段階ではタンク処理に適した液状のもので、ドブ浸けできないボディパネルなどに使用するには工夫が必要であったが、いつの間にかジェル状の商品が発売になっていたので試してみた。
 穴だらけのボンネットでテスト。ワイヤーブラシで浮き錆は落として、RS-Rを幹部に塗りつける・・・と同時にRS-Rは黄色に変色。恐ろしい速さで反応が始まる。40分ほど放置して水洗いすると、なんとまぁあれだけシツコイ錆が根こそぎ無くなっているではないか!ハッキリ言って、こいつぁ凄い。素早く錆止め処置をしないと急速に錆びるが、この点さえ注意すれば、これほどまでに「錆を取る」能力に長けたケミカルはない。ただ、水洗いを必要とするので処理できる部位は限られてしまう。それでも錆処理の方法として選択肢が増えるのは良いことである。さて、ボンネットの作業をすすめよう・・・・・

今回の出費 パテ・RS-R・ペーパーetc  5956円
合計 97924円

●第12壊 ボンネットの補修 05年05月20日

 今回は錆を落とした後のボンネットの処理。RS-Rについてちょっと調べると、ジェル状のものは液状のものより能力が落ちるとの事。ゲル化剤で希釈される形になるらしいです。そこで同様にジェル状の錆取り剤を買って来てRS-Rと比較してみる事にしました。モノはSOFT99のRust Remover。いわゆる錆取りクリームとして販売されているもの。私は正直、このテの商品を信用していないのだが・・・結果はご覧の通り。キャッチコピー通り手軽に錆が落ちるではないか!しかも水洗い不要である。RS-Rは水洗い、若しくは中和作業が必要で水をかけられない箇所には厳しいが、これならOK。侮れませんSOFT99。何処でも買えるというのも魅力だし、工具箱に突っ込んでおくと良いでしょう。

 
 さて、本題のボンネット先端ですが、ここはSJ10,20では定番のポイント。裏側に補強が入った袋状になっていて、水が溜まる構造なのでお悩みのホビイストも多かろう。自分で空けた大穴と、ボンネット先端が消失しているのが見える・・・。
 前回で表面の錆は除去されたが、表がコレだけ錆びているのだから、当然裏も錆ている。そこで腐食部分を切除してPOR-15で防錆してしまう。全ての面に塗布するので、こういった箇所は刷毛ではなく歯ブラシを使うと360度自由が利きます。

 
 調子に乗って大穴を空けてしまったので、このままではパテを盛れません。そこで周囲を大きく凹ませて、ガラスクロスをPOR-15で貼り込んでからPORを含浸させて補強。その上からパテを入れます。
 ここはRとエッジが複合していて、エイトの中では少し難しい場所です。大幅に切り取ってしまった為基準点が無く、ゼロから造形する羽目になりました。このような箇所は、一度に整形しようとせず、先ず垂直面を先に作ってからR部に厚めにパテ入れしてゆき、垂直面に向かってエッジを作るように研磨します。それで大体の形が出来上がるので、エッジのRに合わせて曲面を作り、そこを基準に全体のRを出してゆきます。いやぁ、板金屋さんは凄いですね。尊敬してしまいます。
 消失した先端部も形を作り、ピンホールなどを埋めて完成ですが、エッジの丸みをつけるのを忘れずに。同様のエッジが続くように微妙に丸めてゆきます。やりすぎるとパテ入れをやり直す羽目になるので#800くらいの細目のサンドシートで研磨すると良いでしょう。


 サフを入れてしまえば一安心です。このボンネットは、先端に行くほどラインが微妙に下がってゆくデザインですから、真っ直ぐに研いでしまわないよう気をつけなくてはいけません。面倒です。

 
 ついでにステアリング周りのブーツ交換とグリースの封入、トランスミッションのクラッチレリーズベアリングの交換、清掃、グリースアップを済ませておきました。エンジン搭載に向けての準備です。Fにしてあげたい事を、このVに施しています。このMTはバックギアが対策済みの後期型。Fに使いたいのが本音・・・・。しかし妹がドライヴするのでこちらの方が良いでしょう。ストックの新品、中古パーツがどんどん減ってゆきます(涙)

今回の出費 純正部品 11099円 ケミカル類 4443円
合計 113466円