我が家に出入りしたエイトは過去三台。一台目は他ならぬ現役のSJ20-F3.二台目は1万円でクルマ屋から引き取ったSJ20-F3(書なし)。そして三台目は高校生の頃はじめて購入したクルマ。神戸で売りに出た前期型のエイトを貯金を叩いて13万円で購入し、父親と一緒に引っ張りに行った思い出があります。

そして2004年。通算五台目のエイトが遥か彼方から舞い降りた。
別れを惜しむ寺川氏と記念撮影



●第1壊 出逢うべくして 出逢う
 2004年9月7日13:47分 E-mail受信。 差出人 ジム・オート湘南。同日13:17分に僕が送信した「規制適合のご報告」メールの返信が届く。ドットで形作られた文字はジム・オート代表、寺川氏によって綴られた労いのお言葉を表現していた。そして、文末にある一文・・・・・「PS 私が秘蔵?していたエイト3台のうち2台を処分する予定です。(中略)陸送は無理ですが、取りに来ていただけるならあげますよ」追伸というものの本文より長い。寺川殿、それは私に仰っておられるのですか???「少し考えさせて下さい」と返信し、頭を整理する。
 学生時代ならともかく、現在は実家暮らしなので何とか置くスペースはある。我が父に話を持ちかけたところ眼を輝かせたので問題ないだろう。神奈川〜兵庫までの600Kmを移動させることが問題であるが、しかしコレを逃すと二度と無料のエイトなど手に入らない。世の中には欲しくても手に入れられないヒトも居るのだ。考える必要など無い。

 メールを打つ。「二台ともください・・・」・・・・Point of no return。
 現段階で判明している車輌の情報はというと、
@SJ20-F 書類なし ボディグサグサ 腐り多し Eg、T/Mつき
ASJ20-V 書類あり Eg、T/Mなし NOx適合済み(!)
 現車の画像等は全くなし。つまるところにニコイチベースである。寺川氏もそつもりであったのだが、時間と保管場所の関係でこれ以上放置して土壌に還元してしまうのを防止すべく処分を決意されたようだ。そこで排ガス規制クリアの件でチョッカイをかけてきた若輩エイト乗りに優先権つきのオファーを出してくれたのだ。勿論、この心意気に全力で応えるのが礼儀であるし、コンディションがどうあれエイトを二台も確保できるとなれば一生涯乗るには十分なパーツを確保出来る。なによりこれは運命だ。あれ程までに苦しみ、悩んだNOx、PM法が施行されていなければ、このような展開は先ずあり得なかった事だろう。神は試練を与え、それを乗り越えた証明として二台の希少車を授けたのだ。←(授けたのは寺川氏である)これを運命と受け止めずに何とするや。
 さて、妄想はさておき車輌を引き取る準備にかからねばならない。二台ものエイトを抱え込むのはいくら何でも欲張りすぎであるから、日頃から世話になっている滋賀のハイロンサム氏(エイトクラブ近畿副代表)に相談を持ちかけ、二人で一台ずつ確保すると共に、氏の全面協力を仰いだのだった。色々な陸送業者を当たってみたところ、不動車を二台も請け負ってくれるところは皆無であり、一台でも見積り額は80000円。こりゃあ、無理だとグダグダ迷っているとハイロンサム氏がトラックを何台か都合できる当てがあるという。これで神奈川〜関西二往復ツアーが決定した。



●第2壊 サルベージ
 引取りの日程は9月25〜26日にかけてSJ20-Vを、10月1〜2日にかけてSJ20-Fを、それぞれ移動させる事になった。先ず、私自身がエイトで滋賀県まで移動し、そこから神奈川に向けて下道で移動。滋賀にエイトを降ろし、エイトで兵庫県の自宅に戻る・・・。というものでコレを二回繰り返し、兵庫までの移送は別日に行うと言う事で決定。

一往復目:04年09月25,26日 借り受けたのは材木屋さんのマツダ・タイタン2t標準ボディ。スズキ車の輸送にマツダ車というのがなんともヨロシイではないか。材木屋の兄ちゃんになりきり、エアコン無し、ラジオ故障で一切のアミューズメントを拒否しつつ滋賀県を出発し、三重県を越える峠が台風で通行止めで引き返す事二回、道端で寝る事数回、濃霧の箱根峠を爆走して無事にジム・オート着。寺川氏と初対面を果たし、手際よく車輌を積載。不動車を如何にしてトラックに載せるか懸念していたのだが、二柱リフトで持ち上げ、その下にトラックを潜り込ませるという妙技を寺川氏が発揮して難なく終了。お恥ずかしながら、帰路は高速を使用・・・・。
 

高速代 兵庫〜滋賀 3900円×2 7800円
高速代 神奈川〜滋賀 8000円 片道使用
燃料代 軽油 約8000円 ガゾリン 約3000円 計11000円
合計 約27000円


二往復目:04年10月1,2日 全く懲りずにまたもや下道移動。ロマンティックな出来事も無く移動しまくる。夜中出発で昼前にはジム・オート着。手際よく積み込み作業を終えて、雑談の後に出発。何故か両日共に移動中のみ雨。睡魔との闘いを終えて二台のエイトが関西に漂着した。因みに、幌は完備されていたのだが、高速に乗った途端に風圧で破れた。SAで撤去作業。周囲の家族連れの視線が痛い。
 
おまけに滋賀からの帰り道。名神高速を1●0Km/h走行中、破裂音と共にマフラーが折れた。やっぱりインチキマフラー・・・ではなく、溶接箇所以外のところがポキリ。少々排気漏れしていたのは気付いていたが、以前の補修箇所だと判断。そこには脱落防止用に鉄板を溶接しておいたので安心していたのだが。折れた箇所は4-2-1の集合部で最早直管ではなく、マフラー無し!状態。まさか高速道路のアスファルト上に寝転ぶ羽目になるとは予想だにしていなかった・・・。そのまま豊中インターで降り、下道で兵庫県の自宅まで・・・・・高速代金は多少節減されたがその代償は究極的睡魔と霊的とも思える肩凝りによって支払われた。

高速代 兵庫〜滋賀 3900円 往路
     滋賀〜豊中 2750円 復路(マフラー破損により下線)
高速代 神奈川〜滋賀 8000円 片道使用
国道一号線バイパス代 1000円
燃料代 軽油 約7000円 ガソリン 約3000円 計10000円
合計 約25650円

寺川氏へのお土産(地酒)5000円
ここまでの費用 約57650円也。


最終移動:04年10月16、17日 ひとまず滋賀に降ろしたエイトのうち一台を我が家へ引き取らねばならない。ハイロンサム氏宅に長時間放置しておくとご近所からの苦情が予想されるであろうし、手元に無いと無性に寂しいものである。幌とバン、私の取り分は書付きのバンで、こちらは私の手により復活の道を歩む事になる。幌は書類が無いので再登録
は諦め、部品取りとして解体する事に決定。今回ハイロンサム氏が都合してくれたのは鉄工所のマツダ・タイタン2tワイドロング。またタイタンである。ということで、本日は鉄工所の兄ちゃんになりきっての輸送である。時間が無いので高速道路を駆使。無事に帰宅し、独りでチェーンブロックを駆使して降ろす。積み込み時にチェーンブロックが故障した以外は無問題にてミッション終了。滋賀に戻り、エイトでまた兵庫に戻る。
 
総移動距離実に4000キロ。流石に燃え尽きた。これにてひとまず移動が終了した。

高速代 滋賀〜兵庫 4500円×2 9000円(1ナンバー料金)
高速代 滋賀〜兵庫 3900円 復路のみ
燃料代 ガソリン 約3000円
合計 約15900円

ここまでの費用 約73550円也!



●第3壊 マイ・マシン
 さて、今日は10月19日。二台のエイトが仲良く並んでいる。ここまでにかかった費用を計算してビックリ。何と73000円も捻出したのね・・・。よく出てきたものです。これも偏にハイロンサム氏、寺川氏、材木屋さんに鉄工所の大将の協力の賜物。エイトが我が物となったは良い。そして車検を取得して社会復帰するのも、溜め込んだスペアパーツにより比較的容易なはず。このエイトの最大の特徴は、NOx、PM法をクリア済みという点です(つまり、一台分の費用で二台クリアしたのと同等の意味を持つ)。ここはひとつ、時間をかけてレストアして、素敵なエイトに仕立ててやる他ないだろう!!しかしだ。現状でエイトとGB400、250の3台を抱え込んでいる事実を考えると、更にもう一台のエイトを登録、所有するには経済的に負担が大きすぎる。かといって、再生後に乗らずに置いておいても、機械というものは作動していないと急速に傷むものである。なによりエイトは「走ってこそエイト」なのである。さあどうする?フッフフフ・・・私が何の考えも無しにこの暴挙に出たとでも?私にだって脳味噌くらい標準装備されているのですよ←(アンタ誰と喋ってるの?)。
 さてと。実は私には歳の離れた妹がおります。で、その妹が免許取得年齢に到達しました。就職も無事決まりました。勿論、通勤にクルマが必要です。でも、我が家には私のエイトと父の昭和62年式のアウディしかありません。

これが問題の妹。兄が馬鹿だと苦労は絶えないのだ。
そう・・・・この「妹」をエイトに乗せてしまおう!!しかも・・・各税金、保険等の維持費は妹の負担で。さすれば私は時々借用できるしエイトも適度に運動できて一石二鳥ではないか←(鬼かオマエは)。将来、私が結婚でもしたら強制返却を求める。そう、今度は嫁に乗らせるのだ(←アホかオマエは)。チャイルドシートもつけられるしね。我ながら天才的閃きである。
プランが明確になったところで、次回からは再生の模様をお伝えしてゆくことにしよう。

本日の出費 0円
合計 73550円